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2009 年度 実績報告書

公的医療保険の効率性-逆選択が存在する市場における政府介入の是非-

研究課題

研究課題/領域番号 20530392
研究機関立命館大学

研究代表者

山本 信一  立命館大学, 経済学部, 教授 (90388108)

キーワード医療需要の価格弾力性 / 実質自己負担 / 総医療費(対GDP)比率 / 情報の非対称性 / 公的医療保険支出比率(対総医療費) / OECDデータ / パネルデータ分析 / 日本の医療費(対GDP)比率の将来予測
研究概要

OECD HEALTH DATA 2008から、国数を優先させた20カ国5年データと、期間を優先させた14カ国11年データを作成した。これに基づきパネルデータ分析を行った結果、次の3つの仮説が成立することを実証した。
(仮説1)実質自己負担(保険・公費以外)比率を10%増加させると(例:日本であれば、15.3%を25.3%とする)、総医療費(対GDP)比率は、0.7%~1.4%減少する。実質事項負担比率を、日本であれば1.65倍にしても、総医療費が急減する訳ではないが、一定の抑止効果があることは、P値が0.0000~0.0002であることから明らかである。
(仮説2)公的医療保険支出比率(対総医療費)の項は、係数推定値-0.102、P値が0.000と大きな医療費削減要因となっている。日本の公的医療保険支出比率(対総医療費)は、2003年で81.5%であるが、民営化を進め、アメリカ並の44.5%に引き下げると、それだけで、総医療費(対GDP)比率は8.1%から11.9%へ5割近く上昇することになる。
(仮説3)総医療費(対GDP)比率は、実質自己負担比率・公的医療保険支出比率(対総医療費)・乳幼児死亡率・1人当たりGDP・人口千人当り医師数・65歳以上人比率・喫煙率で、71.4%~79.0%が説明される。
次に、上記で説明力が高いとされた計量モデルを用いて、2055年の日本の医療費(対GDP)比率を予測した。2055年の医療費(対GDP)比率は、現行医療制度を延長した場合11%程度で3%程度の上昇で止まる。この上昇は小さいとは言えないが、国民の合意があれば負担可能である。一方、アメリカ的医療制度に変更した場合、2055年の日本の医療費(対GDP)比率は、16~17%程度と8~9%も急増し、国民の選択肢としてすら提示できないと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 医療需要の価格弾力性と国民医療費の決定要因2009

    • 著者名/発表者名
      山本信一、宮下洋、斉藤都美
    • 雑誌名

      生命保険論集 第167号

      ページ: 149-173

  • [学会発表] 医療需要の価格弾力性と国民医療費の決定要因2009

    • 著者名/発表者名
      山本信一
    • 学会等名
      保険学セミナー大阪
    • 発表場所
      富士火災本社ビル(大阪府)
    • 年月日
      2009-04-11

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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