本研究は、消費者参加型新製品開発プロセスにおける消費者行動と、そのプロセスを通じて開発された製品の成果を理論的・実証的に明らかにすることを目的とする。2年目である本年度では、おおきくは前年度から継続の「関連研究の先行研究調査」と「複数事例・ユーザーの定性的調査」という2つの調査に、「概念モデルの精緻化」という研究を加えた3つの研究内容を実施する計画であった。 その研究成果としては、当初研究目的をおおむね達成するものであり、本研究全体における基礎研究と位置づけられる重要な成果となった。具体的な成果は以下の3点である。 第1の成果は、本研究に関連する先行研究調査である。マーケティング・組織論・消費者行動など経営学・商学の各分野にわたるユーザー・イノベーション研究および経営学・商学に加え社会科学全般にわたるウェッブ上の消費者行動研究の最新動向を調査研究した。加えて、海外の関連学会に参加し、研究の途中成果を報告するとともに最新情報を入手した。これらを通じて、消費者参加型新製品開発における消費者行動と開発成果と関係についての深い理解につながった。 第2の成果は、複数事例・ユーザーの定性的調査の実施である。新たな事例について、フィールドワークおよびインタビュー調査、企業内部データの収集を通じて調査研究を実施した。これらにより概念モデルの更なる考察ができ、より妥当性の高い概念モデルの構築につながった。 第3の成果は、概念モデルの精緻化である。前年度の成果を反映しつつ、文献レビューおよび定性的調査に基づき、消費者参加型新製品開発における消費者行動と開発成果との関係についての概念モデルを開発し仮説を構築できた。
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