本研究は、消費者参加型新製品開発プロセスにおける消費者行動と、そのプロセスを通じて開発された製品の成果を理論的・実証的に明らかにすることを目的とする。ここで言う「消費者参加型新製品開発」とは、ウェッブを活用し、企業や消費者、消費者間の創発的なコミュニケーションを通じて、製品開発・テスト・普及が行われる製品開発の手法である。 近年、消費者参加型新製品開発が台頭し開発成果も現れ、先駆的な研究が行われている。だが、理論的・実証的研究があまりなく、未だ研究蓄積も少なく萌芽的な段階である。とりわけ、こうした研究は、その出発点であるユーザー・イノベーション研究を中心に進められているが、ウェッブにおける消費者行動研究などの理論的知見は充分に活かしきれていない。 そこで、本研究では、両分野の理論的知見を融合する理論研究からはじめ、定性的・定量的研究を通じて、消費者参加型新製品開発プロセスにおける消費者行動と開発成果との関係についての概念モデルを構築していく。最終年度である本年度は、主に研究成果のまとめを行う計画であった。具体的には、分析結果の考察、調査企業へのフィードバック、成果発表という3点を進める予定であった。 その実績は次のように、計画どおりに進んだ。まず、分析結果の考察については、昨年実証研究の結果の考察を、当該研究に関連する研究者あるいは実務家との研究打ち合わせを実施し、その内容を精緻化していった。次に、調査企業へのフィードバックについては、先で考察した結果の解釈を、研究協力の企業に対して、フィードバックし検証を行なった。最後に、成果発表としては、研究成果を整理し、関連する学会・研究会にて成果の報告、および国内外の学術誌に研究成果となる論文の投稿を行った。
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