営業担当者は、単なる販売者ではなく、境界連結者としての役割を担う。つまりネットワークを構築したり、維持したりする役割を担うのである。そして企業間ネットワークは、企業が必要な資源を動員する重要なものである。また逆にしがらみとして、当該企業の行動を拘束する場合もあり得る。本研究は、これらをバリュー・ネットワークの問題として、営業担当者がどのようにそれを構築・維持しているかをk解明することを目的とする。 そこでまず、平成20年度は、文献研究を多く行った。本研究課題は、研究代表者の専門であるセールス・マネジメント論だけでなく、ネットワーク論など、多岐にわたる。それゆえに、できるだけ広い範囲の文献を収集し、精査することが必要となる。 また、当該問題に関するインタビュー調査も行った。営業活動の管理は、基本的には進捗状況の管理という形で行われることが多い。SFA(Sales Force Automation)などは、最も典型的な例である。SFAの実態は、企業ごとに異なっているが、もっとも典型的なかたちとしてはは、コンピュータを使って営業活動の進捗状況を管理し、進捗度合いに応じて必要な情報を取り出せるよう各種データベースと連動させたものである。こうした方法が現在の営業マネジメントの主流であると考えられるが、今年度のインタビュイー企業ではネットワークを軸とした管理方法を取り入れている企業があることがわかった。この企業に関しては、今後も継続的に調査していく予定である。 平成20年度は、こうした文献研究成果やインタビュー調査の成果を踏まえて、研究発表を行った。マーケティング研究の中でも、ネットワークに焦点を当てた研究が盛んなIMP groupの国際学会において研究報告をすることができ、多くの有益な示唆を得ることができた。
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