研究概要 |
営業担当者は、単なる販売者ではなく、境界連結者としての役割を担う。つまりネットワークを構築したり、維持したりする役割を担うのである。そして企業間ネットワークは、企業が必要な資源を動員する重要なものである。また逆にしがらみとして、当該企業の行動を拘束する場合もあり得る。本研究は、これらをバリュー・ネットワークの問題として、営業担当者がどのようにそれを構築・維持しているかを解明することを目的とする。 平成22年度には、これまでの研究の成果を、国際学会(4th Annual Global Sales Science Institute Conference, Poznan University of Economics, Poland)にて"Japanese Sales : Not just about sales but also about conducting business"の論題で報告した。この報告では、日本の洋酒メーカーのウィスキー事業の事例を基に、営業部門がバリューネットワークを形成し、業界のトレンドを作り上げていくことや、ひいては食文化まで変えていくという事例を紹介した。本研究は、そもそも営業活動とバリューネットワークの関係を探ることを課題としているが、そのことの結果として、文化や社会にまで影響を及ぼす大きなトレンドを作り出すということまでも、視野に収めることができ、本研究の射程を大きく広げることができた。平成22年度の研究は、この学会報告で定まった方向を基に、さらに理論研究や事例研究を進めることに取り組んだ。また、11月には、日本商業学会関西部会において、「企業間ネットワークと営業活動」と題する報告を行い、産業材分野においても、ネットワークと営業活動の関係について議論した。
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