1.ACC入賞食品CMの内容分析 1999年から2008年までの10年間のACC入賞食品CM654本の言語メッセージ(音声と文字スーパー)にテキスト・マイニングを施した。その結果、使用頻度の高い語の中で「食品選択基準」に関連のあるものは、「新発売」と「おいしさ」のみであった。さらにACC賞入賞食品CMに使われている主要語の傾向を明らかにするために、コレスポンデンス分析を施し、得られた成分スコアについてWard法によるクラスター分析を行った。その結果、ACC入賞食品CMの言語メッセージは「ストレスの後のくつろぎ」、「成人病予防」、「おいしさとダイエット」、「安全性と健康・栄養」に分けられた。そして、「ストレスの後のくつろぎ」を訴求しているCMが非常に多かった。 2.視聴実験の結果の分析 (1)食品CMの「伝達内容」に含まれる「食品選択基準」を受け手が重視しているか否かによって「Aad」の評定が異なることを検討する場合、考え得る全ての「食品選択基準」項目について分析するよりも、「食品選択基準」次元を明らかにして、各次元を代表する項目について検討する方が、体系的で理解しやすい。そこで、本研究で得られたデータにAmosを用いた確認的因子分析を施し、浅川(2007)で探索的に求めた「食品選択基準」5因子構造(「ムード」、「健康・栄養」、「簡便性」、「ダイエット」、「価格」)の信頼性を確認した。 (2)接触したCMの「伝達内容」に含まれる「商品選択基準」を、受け手が重視しているか否かによって異なるCMの情報としての価値のことを、「情報的価値」と定義した。そして、「情報的価値」が高いケースと低いケースの間に見られる「視聴印象」と「Aad」の評価の相違について検討した。その結果、同じCMでも、「情報的価値」が高いケースは低いケースと比べて「視聴印象」と「Aad」の評価が高いことが認められた。
|