研究概要 |
今年度は,わが国で内部統制報告制度が初めて実施されたことに鑑み,実施初年度における実態分析を中心に研究を行った。アメリカで先行している制度に類似した制度であるが,アメリカの実施初年度の実態と比較して,わが国の対象企業においては十分な準備と対応が行われていたことが明らかになった。その一方で,監査理論的にはいくつかの課題が明らかとなり,これらに対しては今後の研究の中で対応策を提示する必要がある。なお,実態分析と課題の指摘などについては,2本の論文(共著)にまとめ公刊した。 実務界においては,内部統制報告制度に対して費用対効果の面で疑問の声が上がっている。その背景として,経営者のこの制度に対する消極的な取り組み姿勢があると考えられる。こうした点を考慮して,内部統制の有効性の評価結果の報告に際して費用に見合う効果が得られるような積極的な取り組みが行われていないことを指摘し,フランスにおける内部統制報告制度の現状を考慮しつつ,具体的な対応策を提示した。この研究成果は,平成22年度早々に公刊されることになっている。
|