研究概要 |
本研究の目的は、先進資本主義10ヵ国における、各国内の企業業績格差すなわちprofitability dispersionの(1)計測(25年間)、(2)格差規定要因の統計分析・制度要因分析、(3)マクロ会計数値で見たリスク=リターン関係の国際比較を実施することにある。それによって、社会的要請の高い「格差問題」に会計学の立場から考察を加えるという構想を持っている。 平成20年度のデータベース作成に基づき、平成21年度は実際の分析作業(上記(1)と(2))にとりかかった。(2)について、具体的には、会計的要因(利益管理行動)と非会計的要因(市場の構造的要因、マクロ要因など)とに分けて考察を行った。既存の実証研究の多くは、長い間、非会計的要因よりも会計的要因に注目してきた。それに対して、我々は、会計的要因だけではマクロの利益率格差を説明する力は脆弱である点、非会計的要因がクロスセクションの格差を創出する有力な要因である点を検証しつつある。 これらの成果について、平成21年度は以下の学会報告を実施した。すなわち日本経営財務学会東日本部会(一橋大学にて2010年3月に開催)において、"Fundamentals of Profitability Dispersion"という題目で研究報告を行った。海外発信としては、American Accounting Association(Annual Meeting, August 2010, San Francisco, United States.)に、次の研究成果を投稿したところ、研究報告がアクセプトされた。報告タイトルは、"The Accounting and Non-Accounting Factors Effect on Macro Profitability Dispersion."である。
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