第2年度は、マクロとミクロの環境会計の理論研究を進めるとともに、両者の接合点を模索する研究へと展開することを目標として研究を進めた。まずマクロ環境会計の理論研究については、2009年中に確定した"System of National Accounts 2008"(2008SNA)を研究し、第1年度において研究した環境経済統合会計2003(SEEA2003)との関連性を研究した。しかし両者の文献はともに膨大な量の文献であるため、第3年度も引き続き研究を行なう予定である。 ミクロ環境会計に関しては、引き続き実態調査を行うとともに、政府・自治体の環境会計が環境行政および他の行政の意思決定に組み込まれる必要があり、そのためにマクロ環境会計との連携が必要であることを主張した。この点は、「自治体環境行政と環境会計」に纏められている。実態調査については、枚方市や京都市といった環境会計を導入している自治体に対するヒアリングを通じて、自治体環境会計の実務上の課題の把握に努めた。当該実態調査は第3年度の前半まで継続的に行い、最終的に論文としてまとめる予定である。また、当初予定に明示しなかったが、自治体と同様にパブリック・セクターに属する国立大学法人においても環境会計が進展しつつある現状を踏まえ、検討した。当該研究の結果、国立大学法人の環境会計は、一般行政部局を対象とした自治体環境会計と水道局等の事業型の自治体環境会計の中間的な位置づけとして捉えることができた。第3年度において当該成果を自治体環境会計の研究に適用する予定である。 最後に、マクロ環境会計とミクロ環境会計との接合点を模索するため、政府会計の領域におけるミクロとマクロの両会計の連携について研究した。この成果の一部は学会において報告したが、第3年度中に論文化される予定である。
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