研究概要 |
アメリカ財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)の主導で進められている会計基準の国際統合(以下「コンバージェンス」)の現代的特徴と展開方向を,概念フレームワーク改訂プロジェクトを主たる検討素材としながら,明らかにした。当該プロジェクトのキーワードとして位置づけられている「忠実な表現」は,概念フレームワークの基礎をなす資産負債アプローチの本来的性質を強化する要素として機能しており,今後の基準設定においては時価会計指向のさらなる深まりが予想される。ただし,利益計算の基礎をなす収益認識においては,資産負債アプローチの作用は限定的なものにとどまると考えられる。総じて,わが国における今日の制度変化を加速する方向で,コンバージェンスは展開している。
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