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2009 年度 実績報告書

公正価値、コンバージェンスおよび日本の会計

研究課題

研究課題/領域番号 20530414
研究機関九州大学

研究代表者

角ヶ谷 典幸  九州大学, 大学院・経済学研究院, 准教授 (80267921)

キーワードコンバージェンス / 公正価値 / 割引現在価値 / 包括利益 / 経済的利益 / 会計的利益 / 日本の会計
研究概要

本研究は、「公正価値」、「コンバージェンス」および「日本の会計」の相互関連性(浸透・収斂過程)や諸問題を明らかにすることを目的とする。本年度の研究成果はおおよそ次の通りであった。
(1) 公正価値(とくに見積数値が用いられるケース)および現在価値の適用状況を長期的にみると、適用レートは「内」(実効利子率)から「外」(市場利子率)へと変化し、利益は「フロー志向」(原価主義的利益)から「ストック志向」(公正価値的利益、経済的利益)へと変化してきたことが観察される。この問題はインサイダー・コントロール・システムとアウトサイダー・コントロール・システムという広い枠組みで捉えることによって、より明確にされる。
(2) リース会計基準(およびその国際的動向)についてみると、オンバランスの範囲がオペレーティング・リース取引にまで拡大されようとしていること、「利息法」から「公正価値法」に向けた提案がみられるようになってきたことが観察される。その際の主たる根拠として、「資産負債中心観」(ストック志向)、「構成要素アプローチ」(金融資産と非金融資産の区分)および「使用権モデル」(権利・義務志向)があげられている。
(3) FASBやIASBが標榜する原則主義(目的志向性)、測定属性の特定化および市場の論理は、例外の排除、特定の測定基準の選択および市場価格への集約を目指すものであり、「収束の論理」に基づいている。それゆえ、コンバージェンスを表面的に観察すると、アウトサイダー・コントロール・システムへの収束が目指されているようにみえる。しかし、現行の会計実務では、企業特殊的要素と市場関連的要素が混在しており、原価主義会計のなかで公正価値(現在価値)評価が部分的に適用されているのにすぎない。したがって、FASBやIASBの理念と実際の会計実務の間には乖離がみられ、コンバージェンスに向けてさらなる議論が必要とされる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 原価主義会計と混合測定属性モデルの論理と課題2009

    • 著者名/発表者名
      角ヶ谷典幸
    • 雑誌名

      會計(森山書店) 176-3

      ページ: 49-63

  • [学会発表] Present Value and Income Measurement in the Context of Global Convergence2009

    • 著者名/発表者名
      Tsunogaya, N., H.Yoshimi
    • 学会等名
      The 21st Annual Meeting of the Asian-Pacific Conference on International Accounting Issues
    • 発表場所
      Las Vegas(USA)
    • 年月日
      2009-11-24
  • [学会発表] Present Value and Historical Cost Accounting:Toward the Global Convergence and Reconciliation Process in Japan2009

    • 著者名/発表者名
      Tsunogaya, N., H.Okada, H.Yoshimi
    • 学会等名
      The 10th Annual Meeting of the Asian Academic Accounting Association
    • 発表場所
      Istanbul(Turkey)
    • 年月日
      2009-11-17
  • [学会発表] 現在価値会計と複式簿記2009

    • 著者名/発表者名
      角ヶ谷典幸
    • 学会等名
      日本簿記学会・第25回関西部会・統一論題
    • 発表場所
      九州大学(福岡県)
    • 年月日
      2009-05-30
  • [図書] リース会計基準の論理2009

    • 著者名/発表者名
      佐藤信彦・角ヶ谷典幸(編著)
    • 総ページ数
      251
    • 出版者
      税務経理協会

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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