研究課題/領域番号 |
20530417
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
浅野 信博 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 准教授 (10319600)
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研究分担者 |
椎葉 淳 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (60330164)
松中 学 新潟大学, 法学部, 准教授 (20518039)
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キーワード | 会計発生高 / 企業戦略 / M&A / 会計利益 / キャッシュ・フロー |
研究概要 |
本研究は、会計発生高(accounting accruals:会計利益とキャッシュ・フローの差額)は戦略にしたがうか」すなわち、企業戦略によって会計発生高がシステマティックな影響を受けるか否かについて明らかにすることを目的とした研究である。具体的には、企業戦略としてM&A(合併および買収)に注目し、M&Aと会計発生高の関係について経済理論モデルを展開した後に、客観的基準を用いてM&Aを分類し、戦略転換前後における会計発生高の動向を捉えていくことになる。 平成21年度においては、平成20年度に引き続き、M&Aの開示制度にかかわる法津上の問題点を明らかにした上で、公開買付けにおける開示情報規制および経営者の開示行動について調査・検証を行った。前年度においては、金融商品取引法施行前後において、経営者の買収プレミアムの開示について裁量性が認められるかについて明らかにしたが、本年度においては、質的データに注目して、金融商品取引法施行前後において、情報開示量に差が認められるかどうかについて検証を行った。 結果は、金融商品取引法施行以前において、MBOとその他のTOBとでは情報開示の量に有意な差が観察されなかったのに対し、金融商品取引法施行以降においてはMBOにおける情報開示量が有意に大きくなっていることが観察された。このことは金融商品取引法において、特にMBOについての規制が強化されたこと、および2006年12月13日金融商品取引法施行前には施行後に比べて、経営者にとって有利な買収プレミアムを開示していたことと整合的である。企業戦略によって会計発生高がシステマティク影響を受けるか否かを明らかにする際には、これら結果の綿密な解釈は欠かせないものとなる。
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