研究概要 |
本年度は、アンケート調査を行い、帰納的方法に基づく実証研究を行った。本研究の中心となるのは、ファイナンス・リース取引のうち解約不能条件を満たすが、フルペイアウト条件を満たさない、いわゆる解約不能のオペレーティング・リース取引である。この取引は国際会計基準、および日本基準においても規定が整備されていない分野である。また、この取引の代表的なものが残価設定販売型リース取引である。この取引は、自動車販売において頻繁に利用されている。本年度の研究成果は次のとおりである。 残価設定販売型リース取引の測定のために提示されている方法の検討を行う場合,つぎの3つの項目に関して考察する必要がある.1、ファイナンス・リース取引,および解約不能のオペレーティング・リース取引においては,リース料の性質を融資の元本と利息の受取りとみるのが妥当である。その点で,適用指針第51項で提示されている売上高と売上原価を計上する2つの方法では、金融機関であるリース会社が商品を販売したかのような会計処理をしている点で妥当であるとはいえない.2、貸手は,リース物件の使用権のうち,残価を除いた部分を販売したにすぎないのに,適用指針第56項に示す方法では,リース物件全体を販売したとして販売益の金額を算定している点で妥当であるとはいえない.3、貸手は、残価の部分を留保しており、その経済的実質は割賦販売と異なる。それにもかかわらず割賦基準による方法では、残価設定販売型リース取引を割賦販売と同一であるとみなし、割賦基準で処理する旨を定めている。
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