研究課題/領域番号 |
20530423
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
山下 裕企 愛知大学, 経営学部, 教授 (70256684)
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研究分担者 |
後藤 晃範 大阪学院短期大学, 経営実務科, 准教授 (70331684)
平井 裕久 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (40399019)
大沼 宏 東京理科大学, 経営学部, 准教授 (00292079)
鈴木 健嗣 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (00408692)
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キーワード | 申告所得公示制度 / 税負担削減行動 / 実効税率 / 会計利益と課税所得の差異 / 利益調整行動 |
研究概要 |
本研究は、申告所得公示制度が果たしてきた役割およびその廃止の影響について、いくつかの観点から明らかにするものである。本年度は、主に次の3点について分析・検討を行った。第一に、申告所得情報公示制度の廃止が日本企業の税負担削減行動(tax aggressiveness)にいかなる影響を及ぼしたかについて、昨年度までに得られていた知見(公示制度廃止後に企業の税負担削減行動がより積極的になること、および役員持株比率の増加に伴い税負担削減行動が抑制されること等)をもとに和文・英文の原稿を作成し、国内外で研究報告を行った。さらに本年度の分析により株式所有構造によって公示制度廃止に対する企業間の反応が異なることも明らかにされた。加えて、この種の分析の基礎となる税負担削減行動の指標についても検討し、日本企業のデータに適用する際の留意点や税負担削減行動の長期的指標(長期カレント実効税率)の日本における特徴等が明らかにされた。第二に、実績値としての課税所得の資本市場における有用性について、さらなる知見を得ようと試みたが結果的にこれを得ることはできなかった。第三に、課税所得関連情報と経営者の利益調整行動の関連性について、単体データを用いて検証した。その結果、会計利益と課税所得の差異(BTD)が様々な算出方法による裁量的会計発生高(利益調整行動の代理変数)と正の相関を持つことが明らかになった。また課税所得関連情報、利益調整行動、税負担削減行動と利益等の持続性の関連性については、現時点で整合的な結果は得られていない。この点については、今後、リサーチデザインの見直しも含めてさらなる検討を行っていく。
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