本年度の「内部監査の理論構築と制度的適用に関する研究」において、内部監査の説明理論としての「3合理論」と「3性理論」の理論的妥当性について検討した。内部監査の一般理論の構築化において、「合法性・合理性・合目的性」の統合領域として認識される「3合理論」、「経済性・効率性・効果性」の統合領域として認識される「3性理論」の完成を目指して、第1に理論的妥当性を把握するため、第2に企業の内部監査部長、監査役にヒアリングを行うとともに、日本内部監査協会(社団法人)の「内部監査研究部」会において報告し、制度的妥当性について、内部監査関係者から建設的な意見を入手した。 経営活動・経営事象が合法的であるが合理的でない場合、逆に合理的であるが合法的でない場合、それらに、さらに合目的的であるか否かを加えて検討した。また、経済的であるが、効率的ではない場合、逆に効率的であるが経済的でない場合、それらに、さらに効果的であるか否かを加えて検討した。それらの組み合わせが多数あるが、理論面は分かるが、実務面からはあまり多くの組み合わせより、実効可能で有効な組み合わせを模索することにした。 内部監査の分野には、経営活動・経営事象について、会計監査、業務監査、経営監査があるとする3形態をとるか、会計監査と業務監査の2形態に立つかで、結果が相違することが予想できるので、2形態に立って分析することにした。内部監査の理論展開には、先進国アメリカにおける内部統制監査の状況把握、日本の内部統制監査との関係で、企業内での内部監査の組織的位置付けを明らかにするとともに、企業内の理解浸透度が大きいことを確認した。
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