2008年初にはFASBとIASBによる企業結合会計基準および連結会計基準の改定版が公表され、パーチェス法から支配取得法へと変わり、M&Aのコンセプトが変わり、資産負債の公正価値測定の徹底を求めている。これからのM&Aに多大な影響が予想される改訂内容である。 2008年8月には金融危機の米国NYで、金融商品をオフバランス化するために使われてきた特別目的会社の連結問題について、金融機関、総合商社、監査法人の意見を聴取した。また12月にはドイツで、欧米における企業結合会計・連結会計の改訂基準への対応を調査したほか、ドイツ商法と国際会計基準のギャップを埋めるための「ドイツ会計近代化法案」について調査した。 学会報告は2件行った。2008年9月の日本会計研究学会(立教大学)では国際的会計基準の改訂とのれん金額の関係について、公正価値測定が深化すればするほどのれん金額は縮減する傾向がみられることを報告した。同12月の同学会関西部会では金融資産負債のオフバランス化について報告した。 2008年末にはわが国でも改訂企業結合会計基準・連結会計基準が公表して、これを機にこれまでの論考を見直し、新章を書き下ろし、自著にまとめる準備を開始した。次のよう章立てで今夏には出版できる予定である。 第1章:M&Aの多様化、第2〜4章:企業結合会計の進化、第6〜9章:連結会計の進化、第10章:特別目的事業体の会計、第11章:JV会計、第12章:M&Aで取得した資産負債の公正価値測定、第13章:のれんの減損会計。
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