企業結合(支配取得法による新M&A会計)と連結(新たな支配および非支配株主持分概念を中心とする)は、2008年1月までに国際会計基準審議会IASBと米国FASBとの間で最も早く国際的収斂作業が了した会計分野である。また、両基準に共通するのは支配概念の強化である。 従来の持分プーリング法ではもちろんのこと、改訂直前のパーチェス法においても徹底していなかった個別資産負債の公正価値測定を、具体的事例を踏まえながら、会計基準の進化と見て、歴史的流れの中で検討した。 M&Aの3分の2が失敗するといわれているが、その大きな原因はシナジー効果としてののれん(Goodwill)の過大評価にあるが、今回の研究結果、買収手段(買収企業が発行する自社株式など)および個別資産負債に係る支配概念と支配獲得時における公正価値測定を徹底すればするほど、のれん金額は引き締まり、真のシナジー効果としてのコアのれんに近づくという一定の論理を発見するに到った。非支配株主の連結財務諸表における持分として位置付ける論理や、支配・非支配株主間取引の資本取引処理についても新たな知見を得た。
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