災害対応資源を「持たざる自治体」として、県別のGDP値の低い5県(鳥取、島根、高知、徳島、佐賀)を選択し、建設、製造、電気ガス水道、情報通信、運輸、小売り、飲食店・宿泊業等で従業員規模が10人以上の企業を企業年鑑等から各県400をランダム抽出して対象とした(有効回収率36.1%)。広域防災拠点に求めるガバナンスや、各企業が想定する災害時の地域社会内での連携イメージがどのようなものか、を中心にアンケート調査を企画し、調査会社に実査を委託した。以下に調査結果の一部を示す(5県合計の姿)。まず、回答企業だが、建設業(217)、製造(160)、運輸(155)、小売り(137)が中心でBtoB型が68.9%を占めていた。自社の被害を地震では4分の3、水害では半数が想定していた。自社の所有資源や車両、人的協力に関する災害時の取り決めは、同業団体(31.4%)、市町村(24.1%)、県庁・警察が20.6%となり、この3者間で、事業所の取り合いになる。数は少ないが町会や病院、学校などと取り決めのある事業所もあり、そこはガバナンスがいよいよ難しくなる。さて、物資に関する実際の連携イメージは「要請元-受け取り業者-受け渡し地点-(自社のクルマ)-自社」というパターンを4割が想定していたが、同魚団体が間に入った場合の調整の仕方について5つの選択肢に反応が分かれてしまった。広域連携という点では「政府が陸海空を統合的に統制」が89.5%と「物流は物流の専門家にまかせろ」という意見を駆逐していた。調整主体数は1つだ、という理由のようであった。
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