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2011 年度 実績報告書

<悪>のグレースケール形成に関する社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20530440
研究機関山口大学

研究代表者

高橋 征仁  山口大学, 人文学部, 准教授 (60260676)

キーワード青年 / 道徳 / 性 / 悪
研究概要

平成23年度の研究においては、これまでの研究の総決算として、主として国際比較調査データを用いながら、青年期における<悪>の観念の分化プロセスについての知見をまとめた。
これらの研究成果は、本研究の4つの柱A~Dに対応して、次のような形で整理できる。
A4理論モデル:道徳意識は、モジュール的かつ複合的に構成されている。青年期における道徳意識の弛緩は、性や自己決定に関する領域から開始される。性が道徳意識の柔軟性や高次化を高めるトリガーとみなすモデルは、性と道徳の対抗関係を仮定する従来の社会化モデルを大きく塗り替えるものである。
B4縦断的調査研究:性や自己決定をめぐる道徳意識の加齢変化(弛緩-再安定化)は、殺人率にみられる加齢変化などと同様に、ユニバーサル曲線を描く。これらの変化は、テストステロンの加齢変化と共通している。こうした加齢変化に関する知見は、神経科学や社会学、犯罪学などを架橋する学際的な統合的因果モデルの必要性を強く示唆するものである。また道徳意識の厳格化という教育施策が、かえって意欲や挑戦の低下を引き起こしてしまうことも意味する。必要なのは、ポジティブな社会的活動への水路付けであるということになる。
C4国際比較調査研究:データアーカイブを用いて国際比較を行ったところ、社会秩序への反抗の許容などに関しては、共通の加齢変化がみられた。他方、年功序列に関しては東西の文化差が顕著であった。これらのことから、青年期だけを問題にするのではなく、青年期と老年期のカップリングのあり方にこそ、焦点を当てる必要があることが分かった。
D4道徳教育や社会教育への応用:上記の研究成果にもとついて、青年期における道徳意識の揺らぎを、抑制するのではなく、よりポジティブな社会的活動へと結びつけていくための提言を、内閣府や福岡県の行政事業において行った。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 青少年問題をめぐる虚実~忘れ去られた<進化>への問い2012

    • 著者名/発表者名
      高橋征仁
    • 雑誌名

      山口大学文学会志

      巻: 62 ページ: 65-89

  • [雑誌論文] 政治意識のモジュール性と政治文化2011

    • 著者名/発表者名
      高橋征仁
    • 雑誌名

      社会と調査

      巻: 7 ページ: 26-33

    • 査読あり
  • [学会発表] 文化と遺伝子の共進化に関する一考察2011

    • 著者名/発表者名
      高橋征仁
    • 学会等名
      第4回日本人間行動進化学会
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)
    • 年月日
      2011-11-19
  • [学会発表] 青年期における悪のグレースケール形成2011

    • 著者名/発表者名
      高橋征仁
    • 学会等名
      第1回社会神経科学研究会
    • 発表場所
      自然科学研究機構岡崎(岡崎市)
    • 年月日
      2011-10-06
  • [学会発表] Adolescent Relativism Revisited2011

    • 著者名/発表者名
      Masahito Takahashi
    • 学会等名
      The International Society of Criminology
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター(神戸市)
    • 年月日
      2011-08-05

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公開日: 2013-06-26  

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