研究概要 |
2005年度より集め始めている「産婦人科医療における相互行為」のビデオデータの分析を進めた.研究代表者の主要方法論である会話分析に耐えうる精度の高いトランスクリプト(転写)を進めるとともに,分析も進めた.とくに,12月からUCLAに滞在しているとき, Charles Goodwin教授から貴重なアドバイスをもらいながら,妊婦健診における「問題提示」についての英語論文の最初の草稿を完成することができた. また,超音波検査における相互行為についても,2008年7月に「言語・文化・精神」学会(デンマーク)にて発表する機会があり,現在,英語論文としてまとめているところである.2008年11月には,日本社会学会の大会において,研究協力者らとともに,産婦人科医療における相互行為をテーマにした2つの部会を持つこともできた. そのほか,産婦人科相互行為のデータから,複数の身体を含む相互行為の一般的な組織についての分析も行ない,日本語論文を2008年の8月に『認知科学』(日本認知科学会)に投稿した.これは2009年3月に同誌において発表されている.また,「複数の身体」に関して,懸案だった研究代表者の著書を,校正において,大幅に見直したあと,2008年9月についに刊行することができた. 2009年3月には, John Heritage教授(UCLA)とPaul Drew教授(ヨーク大学)を講師に招き,会話分析のスキル向上のための5日間にわたる集中セミナーを持った.
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