本研究の目的は、地域コミュニティにおいて、まちづくり活動や対人社会サービスを行う市民組織(NPO・NGOやボランティア団体・市民団体、以下「NPO」と総称)について、その組織・活動特性と、地域・情報ネットワークとの関係を明らかにする点にあり、本年度はこの研究目的に従い、主として以下のような基礎調査、及び関連理論の検討を行った。 具体的には、(1)NPO・市民団体の歴史的経緯に関する文献・資料収集と整理として、神戸市及び横浜市を中心とした福祉・まちづくり関係のNPO、当該分野における中間支援組織(特に神奈川県と兵庫県)、阪神・淡路大震災に関連する震災資料室等の把握・所有する資料・文献を収集・再整理した。また、(2)NPO、中間支援組織の参加者・関係者へのヒアリングを行い、組織実態及びネットワークの把握を、神戸市や横浜市を中心に行った。 以上の2つの作業は、今後予定している調査において、その調査対象となるNPOや調査地域の絞り込み、調査の実施に際しての関係作りとともに、仮説構築などにかかる基礎調査に位置づけられる。本年度は、以上に加えて、(3)NPOの地域ネットワークを理論的見地から検討する視角となるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の理論的検討を行い、NPOの組織構造が地域生活に与える影響について検討を行った。以上については研究会での討議、学会発表に加え、雑誌論文等により発表を行った。
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