1.永住を前提とする外国籍配偶者(婚姻移民)が台湾では2011年時点で46万人近くに上り、すでに少数民族と互角の人口勢力となっている。台湾の国際結婚は経済格差を背景とする東南アジア国籍と中国大陸籍配偶者が96%、台湾人男性と外国籍女性の組み合わせが94%を占めるという特徴がある。 2.大陸籍配偶者は外国籍花嫁の7割を占め、低階層台湾人高齢男性の家庭内ヘルパーとして介護役割を期待されている現状がある。とくに外省人である国民党退役軍人(栄民)の外国籍配偶者の9割は大陸出身者であり、台湾政府も「高齢者ケアの人材不足を補う者」として期待している。しかし将来的に彼女たちが遺族として社会保障の依存者となることについては懸念が示されている。 3.台湾は国民党政権になってからそれまでの民進党政権とは逆に中国政府との融和策をとっている。人口圧力となることを回避するため大陸からの労働者受入れは拒んでいるが、こうした単純労働力として期待される大陸籍配偶者の増加は今後新たな問題を生じさせることが予想され、台湾でも研究が進み始めている。 4.在宅介護を中心とする高齢者福祉政策も、急激な少子化の進行により、今後は介護の担い手不足の問題に直面する。共働き家庭が多く子世代が同居できない家庭の増加等により、実際には施設介護が検討されるべき状況にあっても、施設入所が高齢者のみならず子世代にも忌避され、台湾人ヘルパーの雇用より安価な外国人労働力に頼る家庭内介護が選択されているのが現状である。
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