研究課題
後期近代の社会運動における、社会的排除の問題は、排除の経済的な側面よりも、アイデンティティ構築にかかわる社会的な側面が問題として認知されることが、社会的排除の当事者に対する聞き取り調査によって明らかになった。アイデンティティにかかわる問題を扱う社会運動は内に向かうインヴォルーションの過程をたどることが、これまでの研究で指摘されてきたが、本研究が対象とする社会運動団体は、先鋭的な抗議行動を展開している。本年度は、アイデンティティというきわめて個人的・内的な問題を扱う社会運動が、公的空間の占拠などの対抗性を持った抗議行動として表出されるメカニズムを、日本とフランスの運動の担い手に聞き取り調査を行うことで明らかにした。その結果、社会運動は社会的権利を要求する手段として位置づけられているが、同時に同じ経験を共有する排除の当事者の共同性の場としても機能していた。共同性の場であるだけでは、内向化のプロセスをたどるが、「いまだ出会っていない潜在的な仲間」との連帯というフレームが受け入れられたときには、街頭行動が他者と出会うばとして認知されているがゆえに、公共空間における抗議行動が支持されることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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