三年計画の調査である初年度は、東アジアのメディアの状況(特にテレビと音楽)について基本的な情報を集約しつつ、アジアの研究者間の意見交換を行いながら、文献と聞き取りを中心に調査研究を行った。 具体的には、研究代表者及び分担者が、英米圏特にイギリスとオーストラリアにおける最新の研究動向を調査し(8月)、ソウル(6月)、上海(3月)に現地で行われた研究会に参加するとともに、文献調査と聞き取り調査を行った。また、7月には音楽を中心に「インターアジアポピュラー音楽研究会」を大阪市立大学で開催し、韓国、香港、台湾、シンガポールの研究者と意見交換を行い、さらに2月には東京芸術大学で韓国、香港、シンガポールの研究者と研究会を行った。またこれまで研究代表者と分担者が行ってきたトランスアジア文化研究会を拡大し、日本で活躍しているテレビプロデューサーや映画製作者を招き聞き取り調査を行った(2月)こうした研究の成果については21年度以降書籍として発表される予定である。 また短期的な調査プロジェクトとして、本年度は、特に中国のアニメ制作に焦点をあて、資料の収集と文献調査、生産者および聞き取り調査を行った。これは主として70年代以降のアニメの国際分業の基礎研究であるが、これまで実態が明確になっていなかったグローバル化の前史が明らかになったという点で今後調査の基礎となることが期待される。本成果の一部は、次ページの研究発表でみることができる。
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