研究概要 |
今年度は,本研究課題についての最終年度にあたるため,いままでの研究の補充・総括に力を注いだ.具体的には,まず,昨年度できなかった地域(とくに宮城県)での補充調査を実施した.また,新潟県上越市についても,まだ調査できていなかった4つの区を調査するとともに,すでに調査した地区についても補充調査を実施した.そして,研究会での議論をふまえて,地域社会学会とコミュニティ政策学会の大会で,研究成果を発表した.とりわけ後者は,他の連携研究者とともに,「旧自治省コミュニティ施策検証プロジェクト報告部会」という名称で,一分科会を組織した.この自治省コミュニティ施策に関する研究は,「施策」の本質が狭域自治の保証にあること,したがって,支配・統治あるいは政策意図という観点から「施策」を捉える従来の一面的な見方に修正を迫るものであること,そして,これらのことを,特徴的な地区を数か所選んで実態に即して検討するとともに,「アンケート調査」を通じて包括的・網羅的に検証した点で,いままでになかった成果である.今後,学会発表の際に得られた意見・コメントをふまえて,成果を著書の形で刊行する予定である.また,実証的な論文として,「コミュニティの制度化の社会的意義に関する考察-広島県五日市町を事例に-」を『地域社会学会年報』に,理論的な論文として,「鈴木榮太郎における『自然』と『行政』-『地域自治の社会学』のための予備的考察』を『社会学評論』に,それぞれ投稿した(来年度に刊行される見込みである).
|