本研究の目的は、「軍港都市転換法」の対象となった横須賀市、呉市、佐世保市、舞鶴市の歴史的形成過程と住民生活の変容に地域社会学的視点から分析を加え、調査対象都市の今日的特質を明らかにするとともに、これらの調査結果に比較社会学的分析を行うことで、旧「軍港」4都市が戦後社会において「〈平和〉産業港都市」をめざして〈転換〉しようとしてきた歴史的過程とその成果の今日的意味を明らかにするところにある。 上記の目的を達成するため、平成20年度は、 1)歴史学の研究成果を中心に、戦前期の横須賀市、呉市、佐世保市、舞鶴市の都市構造や住民生活の変容を論じた文献を収集するとともに、 2)国勢調査、事業所・企業統計、工業統計、商業統計、住宅・土地統計、就業構造基本調査などのデータを収集し、基礎的な統計分析を行い、各都市の都市特性の把握を行った。3)「軍港市転換法」の制定運動、「軍港市転換法」をふまえた各市のまちづくりの特質を把握するため、都市計画の変遷に焦点をあてた聴取り調査、資料収集を横須賀市、呉市、佐世保市、舞鶴市で行った。 4)朝鮮戦争、高度経済成長期に企業誘致を進め、重化学工業都市としてその生産活動を拡大させてきた呉市と横須賀市に焦点を当て、企業立地の特質と産業展開、この間における住民生活の変容に関する聴取り調査、資料収集を行った。 という4点をすすめ、住民調査を実施するために各都市の特性把握を行った。
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