研究課題/領域番号 |
20530468
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
坂梨 薫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60290045)
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研究分担者 |
臼井 雅美 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (50349776)
勝川 由美 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20438146)
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キーワード | 子育て支援 / 産後ケア施設 / 社会問題 / 産後早期退院 |
研究概要 |
わが国の産後入院期間は、概ね5~7日と諸外国と比較して長いのが特徴であり、多くの施設において入院日数は一律に決められ、母子に異常がない限り、決められた日に退院している。しかし、現在、母子の健康状態が良好であれば、希望による早期退院を許可するケースも増加している。その背景には、1985年には5884施設あった分娩施設が2005年には2938施設にまで減少し、お産難民が生じていること、また産科救急の受け入れ困難は社会的にも注目され、周産期の医療体制の整備が緊急課題の一つに挙がっていることなどが考えられる。今後、分娩できる場所を確保する環境整備において、入院期間の見直しや短縮が課題になってくることが予測され、早期退院後のケアをいかにしていくかが課題となる。 そこで、今回は、医療者側の早期退院を許可する上での条件について、周産期医療に携わる医療者に早期退院の選好のコンジョイント分析を行った。コンジョイント分析では「退院後の支援」:助産師のよる訪問看護、外来受診、産後ケア施設入所、「児の体重」:減少、横ばい、増加、「黄疸の値」:Bil値15mg/dl未満、Bi値18mg/dl未満、「育児技術の到達度」:30%、50%、70%の4つの属性と水準とした。属性と水準の組み合わせから直行配列表により想定した「退院許可の条件」11種を調査に用いた。 結果、3日目退院の条件で最も重要視するのは「退院後の支援」、ついで、「育児技術の到達度」「児の体重」「黄疸の値」であった。また、「退院後の支援」では「産後ケア施設入所」が最も好ましいとされていた。医療従事者の産後早期退院については、「退院後の支援」が十分に整っている施設への入所、つまり、専門家による産後支援体制があれば、産褥3日目の退院が可能であることが示唆された。このことから、産後ケア施設の本邦への導入の可能性を見出すことができた。
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