今年度は、サンフランシスコ湾岸地域を対象に移民労働者を組織化しているローカル組合と労働者センターについてインタビュー調査を実施した。得られた知見は、以下の通りである。 (1)移民労働者を組織化する主体は、組合のオーガナイザーというよりはむしろ「リーダー」と呼ばれる移民労働者であり、彼(彼女)らによって移民のネットワークが組合などに動員されていることが確認できた。 (2)「リーダー」をリクルートする主体はオーガナイザーであるものの、彼(彼女)らの「資質」によって移民ネットワークの掌握度に差があることが判明した。具体的には、自らも移民であり労働者出身であるオーガナイザーの方が、白人中間階級出身のそれの場合よりも掌握度が高いように思われる。 (3)ローカル組合と労働者センターとを比較すると、後者の方がより移民コミュニティに内在し、移民ネットワークと緊密な関係にあることが判明した。 (4)ローカル組合には、しばしばそれが母体となって運営されているNGOがサポート組織として存在し、他の社会運動との連携を進める「フォーラム」の役割をしていることが判明した。
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