中東・イスラム地域のうち、トルコではノン・フォーマル教育が、1973年教育基本法に基づいて実施され、06年にノン・フォーマル教育の内容を監督する組織も成立した。伝統的イスラム教育組織は、アジアや西アフリカ(マリなど)でもイスラム規範の継承に大きな役割を果たし、通う生徒数も増加している。パキスタンでは、伝統的な宗教教育組織マドラセの生徒は1%とされ、私立学校26%、公立学校73%に比し低い。アフガニスタンとの国境周辺地区(9%)や部族地域で高い。イスラム教育組織でも改革が生じ、宗教教育と公立学校教育内容の混在型に人気が集る。 タイでも、イスラムの伝統的教育組織ポンドクは、南部ムスリム地域で数十年間に増え(04年の270から06年初めに330など)、住民のアイデンティティ構築に対応する。ポンドクの増加は、イスラム民間学校や公立学校に通い、夕方や週末にポンドクに通う生徒の増加を意味する。親は子供の雇用などのため一般教育を重視する。 言語教育も教育に大きく関わる。マリでは仏語の学校が不足し、混在型の宗教学校に人気が集る。中東の多民族国家レバノンでは、1980年~93年の内戦後、国家統一にアラビア語が重視され、英・仏語とのバイリンガル教育が推進された。生徒はアラビア語を重視しつつも、入試で重視され科学・数学は外国語で教育されるため、外国語を重視する。ラテンアメリカ地域で先住民の多いペルーでは、先住民バイリンガル・文化教育が90年代半ばから、ドイツの国際NGO(GTZ)の推奨もあり開始され、無視されてきた先住民への教育提供に集中した。ボリビアでは、首都ラパスでは織物NGOが特定地域と結びつき、民族アイデンティティの源として伝統的モチーフの織物を奨励し、生活向上とノン・フォーマル教育を結びつけている。
|