研究課題
2008年7月から、研究代表者および研究分担者のあいだで、数度にわたって話し合いを重ねた。本研究の目的は「ポピュラーカルチャーにおける戦争の表象を、ジェンダー的視点から分析する」というものである。話し合いの結果、今年度は、研究メンバー各自がドラマ・マンガ等々の資料収集を進める一方、ツーリズムについても現地調査をおこなうこという方向性がうちだされた。その結果、本科研の対象である「ジェンダー論」および「戦争の記憶」との関係が深いという意味で、沖縄の「ひめゆりの塔」を中心とした沖縄南部の「戦跡めぐり」(ツーリズム)を調査することが決定された。具体的には、2009年2月16日から22日まで、研究代表者の高井昌吏、分担者の福間良明・坂田謙司が、沖縄の「ひめゆり平和祈念館」、「県立沖縄平和祈念館」、「沖縄県立図書館」、「琉球大学図書館」、「旧海軍司令部壕」などに足を運び、資料収集をおこなった。ひめゆり祈念館では、実際に語り部にインタビュー調査をおこない、沖縄戦跡ツーリズムの現状と問題点、当事者(語り部)の意識などを把握した。また、館に設置された来館者の感想ノートなども閲覧し、実際の来館者の思いへの理解にも努めた。さらに、各記念館や図書館では沖縄の観光に関する資料(1950年代から沖縄返還の直前まで)を収集し、戦跡ツーリズムの歴史を理解するうえでの資料とした。2009年度は広島の原爆記念館をはじめとして戦争博物館・資料館・記念館等と地域観光の関連についての調査を継続し、収集した資料の分析にも着手する。