研究課題
戦争映画にせよ、戦争を扱ったマンガにせよ、あるいは戦跡ツーリズムにせよ、観衆・読者はそこでの戦争の語りをナショナリティの側面から消費しているだけではなく、多くの場合、そこに描かれるジェンダー表象をも消費している。本研究ではポピュラーカルチャーに表象される戦争・ジェンダーの交錯を明らかにするため、平成21年度において以下のような資料収集・分析を行った。・映画……「男たちの大和」「二十四の瞳」(DVDもしくはビデオ)などの作品、あるいはそれに関する映画雑誌(『キネマ旬報』『映画芸術』『シナリオ』など)や新聞の批評記事を収集し、福間良明・村瀬敬子が中心となってテクスト分析をおこなった。研究成果の一部は『メディア文化を社会学する』(平成21年12月)として発表している。・ツーリズム・記念館……高井昌吏が中心となって、戦跡観光に言及した言説(観光パンフレット、来館者の感想ノートなど)を収集した。具体的には、沖縄(「ひめゆり平和祈念館」、「平和記念館」)、広島(「平和記念資料館」「原爆ドーム」「大和ミュージアム」)、小豆島観光などの資料である。研究成果は『「戦争の語り」とポピュラー・カルチャー』(高井昌吏編人文書院平成23年9月脱稿予定)に収録を予定している。・マンガ作品……谷本奈穂が中心となり、研究テーマに関する主要マンガ作品について、単行本(里中満智子『積乱雲』など)を入手した。雑誌のみに掲載された作品については、国立国会図書館や京都国際マンガミュージアムにて閲覧し、資料を収集した。平成21年度の研究成果の一部は、すでに『メディア文化を社会学する』(高井昌吏・谷本奈穂編世界思想社平成21年11月)で発表している。22年度は『「戦争の語り」とポピュラー・カルチャー』(高井昌吏編人文書院平成23年3月脱稿予定)の発刊を目指し、さらなる資料収集、分析を続ける。
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マス・コミュニケーション研究 76
ページ: 69-83
新潮 160巻7号(2009年7月)
ページ: 7-106