本研究は、1980年前後から職業生活を開始した団塊世代以降のサラリーマン男女の職業キャリアを中心としたライフコースの基礎的縦断データを収集することを目的とする。1980年以降、バブル経済、その後の「失われた10年」といわれる経済不況のなかで企業社会の人事管理制度や企業文化は変動した。また1986年施行の雇用機会均等法は、女性の雇用機会の拡大を法的に保証した。こうしたなかで、サラリーマンの職業キャリアは構造的に変化したといわれているが、その実態を個人水準で縦断的に把握するデータの体系的収集は十分ではない。 本研究では、ライフコース社会学の視点から基礎的縦断データを収集し、イベントヒストリー分析を行う。具体的には、1950-1969年出生コーホート男女を対象とし、ライフヒストリーカレンダーを用いて、職業キャリア、家族キャリア、居住キャリア、教育・訓練キャリアごとに月単位の履歴データを収集し、昇進、配置転換、離職、転職を中心にイベントヒストリー分析を中心に計量的に解析する。その際、すでに収集してきた1910-1949年出生コーホートを比較対象とし、20世紀をとおしての社会変動と個人のライフコースの持続と変容過程の説明を試みる。 平成20年度には、21社・機関から男性13名、女性13名、合計26名へ詳細なライフコース調査を実施した。平成19年度に実施した(35社・機関、男性29名、女性21名、合計50名)データを合わせて分析作業を進めている。合わせて、ライフヒストリーカレンダー法の改良を行った。
|