1. 調査結果の一部をまとめ、「仏教看護・ビハーラ学会」で報告した。テーマは「韓国におけるホスピス制度化の現状-医療・宗教・行政-」で、目的は、近年のホスピス制度化の動向を医療的側面、宗教的側面、行政的側面の3つの視角から整理し、韓国でのホスピス制度化の特徴とその背景、要因について分析することである。研究方法は、資料として、制度化に関する一次資料(公聴会資料、保健福祉部内部資料など)、二次資料(学術論文、雑誌記事など)、韓国内ホスピス機関でのインタビュー調査の結果(2007年~2008年)を用いて、ホスピス制度化の展開、医療・宗教・行政領域での対応と見解を分析するという方法をとった。 2. 独立機関として設置を準備している韓国曹渓宗仏教ホスピス協会の後援する浄土マウルホスピス(在蔚山)を見学。院長の能行氏にこれまでの経過と今後の計画、付設学校の運営や人材育成などの状況についてインタビューした。 3. 韓国国立国会図書館、韓国国立中央図書館にて、論文作成に必要となる文献の補足調査を行った。 4. 3年間の調査研究結果、本年度の学会報告での成果を用いて、研究内容を論文にまとめる作業を現在進行中である。調査結果の整理、現代韓国社会において病で死ぬという事実がどのように構築されているのか、それにかかわる主体はどのような関係性を形成しているのか、韓国人の死に方にはどのような特性があり、それを成立させている要因は何なのか、ホスピスを構成する医療、福祉、宗教、市民活動などはどのような関連を持つか、などを分析内容とする。また、ヒアリング調査で発見された具体的事実に対しても考察を加え、論文を執筆する予定である。
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