研究課題/領域番号 |
20530495
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
浜岡 政好 佛教大学, 社会学部, 教授 (80066422)
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研究分担者 |
岡崎 祐司 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (40257803)
鈴木 勉 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (20162969)
関谷 龍子 佛教大学, 社会学部, 准教授 (80340470)
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キーワード | 超高齢社会 / 地域コミュニティの維持 / 地縁型組織 / 非地縁組織 / 協働によるまちづくり / 地域組織の再編成 / 周辺地域の衰退 / 過疎・高齢のスパイラル |
研究概要 |
昨年度調査した出雲市域に比べて、より高齢化した大田市域においては地域コミュニティの維持と高齢者等への生活支援はいっそう困難化している。担い手の減少等から地縁型組織の力量の低下は否めなく、他方でNPO等の非地縁組織も地縁型組織の低下をカバーするまでには至っていない。 大田市域においては平成18年度から「協働によるまちづくり推進」を掲げて市内を7ブロックに分け、それぞれに地域団体を結集させた「まちづくり委員会」を置き、これに行政の高齢者地域包括支援センターを重ねている。またブロックまちづくり委員会の下には町レベルのまちづくり委員会を置いている。こうした行政サービスと地縁型組織の再編成は市町合併後の行政組織の再編に伴う対応であるだけでなく、地縁型組織の弱化に対応するものである。こうしたブロックごとの地域の相対的自立を促す政策がどのように進行しているかを確かめるために、行政、社協、およびまちづくり委員会の調査を行った。調査は市役所の担当課と大代、馬路、川合、水上、湯里のまちづくりセンターおよび各地区社協からヒアリングを行った。また三瓶・山口地区の老人会と地区伝承館についての聞き取りも行った。 高齢化が進み、行政からの支援が減退した地域において地域維持や生活課題に対応するために、担い手の減少した地縁型組織が必死で活動を維持している。3層のまちづくり組織への地域再編が効果を発揮しているかどうかはまだ確認できる状況にはない。周辺地域からの行政サービスへのアクセスが難しくなり、それによって周辺地域において若い世代が住み続けることが困難化し、さらに過疎・高齢化が促進されるという状況が続いている。 地縁型組織を補う非地縁型組織として、コープおおだ・おたがいさま(生活協同組合をベースにした有償ボランティア制度)、しまね女性センター(女性による県内及び大田市内の地域おこし活動の実態調査)、労協しまね事業団(労働者協同組合によるまちづくりの事業)等へのヒアリング調査を行った。行政や地縁組織で対応できない地域ニーズが沢山あることは確認できたが、まだ現状では非地縁組織が十分に対応きる力量をもっていないことも明らかになった。行政もこのことに気づいており、非地縁型組織育成のための研修を強化している。
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