研究概要 |
研究代表者である坂田は、これまでの2年間の調査結果を元に、分析と新たな発見に努めた。前年の調査で確認できた沖縄各離島における親子ラジオの存在は、当初予想されていた占領軍による一方的な設置ではなく、地域の実情に合わせた自主的な設置・運営の実態も確認できた。離島においては、行政による運営とともに、個人の意志によるボランタリーな運営も多く存在した。 また、昨年度の報告書にも記載した沖縄・与那国島の親子ラジオ運営者が行った、島独自のテレビ受信に関しては、単なる独自のテレビ放送受信という枠ではとらえきれない、占領期沖縄・離島、本土復帰論を巡る新たな知見・研究へと発展しつつある。1964年の東京オリンピックはメディアと社会を巡る多くの先行研究・論考があるが、沖縄や特に離島を含む、占領下の問題と占領を終えて高度成長へと進む本土との関係では語られていない。 共同研究者の福間は、過去2年間の研究期間中に収集した、先島諸島や奄美諸島の占領期の活字メディアの資料の閲覧・分析を進めると同時に、それらと沖縄本島メディアとの差異(言説内容や社会的な機能など)について考察した。具体的には、以下のメディアを主たる研究対象とした。『みやこ新報』,『宮古民友新聞』,『沖縄新民報』,『奄美タイムス』,『ゴスペル』,『南の星』,『八重山文化』,『旬刊南琉』,『みどり』,『ながれ』,『自由』である。 今年度で3年間の研究期間を終了するが、坂田、福間共に上記の問題発見、資料分析を通じて、それぞれの論文執筆や研究発表を準備しており、共同研究としての成果発表の準備を行う予定である。
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