研究概要 |
四年間の研究の三年目として,本年度は,まず、本研究の課題をグローバル化と関連づけるための理論的枠組みを欧米の文献研究を中心に検討した。とくに、欧米における労働問題の労働政策の変容と日本のそれを比較検討した。次に,現代の不安定就労問題の実態を明らかにするために,前年度の調査を引き続き行い、とりわけても東京を中心としたフィールド調査を行った。具体的には、現代的な労働・雇用問題の実態へと迫るために、サービス業労働者や女性労働者が抱えている問題に関して、労働条件・雇用形態の詳細・生活上抱えている問題などを調査し、さらに、非正規の雇用実態に迫るために実体的な社会空間とウェブ空間を分けて調査を行った。 結果、寄せ場的労働市場の拡散は,正規労働者間においても経済的格差だけでなく、文化的セグリゲーションをもたらしており、非正規労働者の多くが多様な困難を抱えているにもかかわらず、そうした困難が社会問題として顕在化しにくく、個人的な問題として対処せざるをえない状況にあることが明らかになった。これらの実態を明らかにすべく、本研究の総括的なまとめに取り組んでいきたい。
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