本研究は、以下のように大きな三本の柱をもとにして行う計画である。 まず、1986 年に制定・施行され、その後改正を重ねていく人材派遣業法をめぐって、さらにフリーターやニートを含めた不安定就労問題をめぐって、社会問題の構築主義的アプローチにもとづいて、現代日本社会における不安定就労問題の社会問題の構成過程を、主として文献研究を通じて、整理していく。 次に、フリーターやニートなど若年不安定就労対策を行っているジョブカフェなど行政機関、フリーターや非正規雇用者問題を運動の中心にすえているユニオン、フリーターやニートに対する支援活動を行っている団体やコミュニティなどに対するインタビュー調査及び参与観察調査を通じて、不安定就労問題をめぐる社会的アクションの実態を明らかにしていく。 さらに、不安定就労者に対するインタビュー調査を行い、とりわけても生活者が抱える「生きにくさ」を浮かび上がらせることを通じて、不安定就労問題の深層を明らかにする。 最後に、これら三つの柱に分類した研究を有機的に関連づけていくことを通じて、現代日本社会における不安定就労問題の全体像へと迫る。尚、調査は、東京、大阪、名古屋、広島、福岡をフィールドとして行う予定である。
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