研究概要 |
昨年度に引き続き,地域精神保健福祉サービスを提供する専門職者,およびサービスを利用する精神障害者を対象として,主観的生活意識の理解を深めるべく研究をおこなった。具体的には以下の6点である。1)昨年度実施した,スウェーデンのpersonligt ombudを対象とした面接調査の結果から,スウェーデンの精神障害者の地域生活におけるpersonligt ombudの役割をまとめ論文化した。論文は現在投稿中である。2)2009年11月から12月にかけてスウェーデンのカールスタット大学を訪問し,相互の研究状況を確認するとともに,今後進める作業についての確認をおこなった。あわせて昨年度調査協力を得たpersonligt ombudのオフィスを訪問し,分析結果を報告した。さらに,ノルウェーのヘードマルク大学を訪問し,研究交流をおこなった。3)二文字を中心として,スウェーデンにおける成年後見制度,とりわけグードマンと管財人(forvaltare)の役割について聴き取り調査をおこなった。成果の一端はすでに公表済みである。4)2010年3月に,カールスタット大学で共同プロジェクトを運営しているベンクト・G・エリクソンが来日し,日本での精神障害者地域福祉の現状に関する調査研究の一端として,大阪府の精神障害者福祉施設を訪問し,執筆中の論文についての意見交換をおこなった。5)岩切を中心に,大阪の相談支援専門員を対象とした調査を実施した。スウェーデンで実施した調査と比較可能な形となるよう,分析を進めている。6)主観的生活意識の概念化に関する検討をさらに進めるべく,資料の収集と整理をおこなっている。
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