研究概要 |
平成21年度は、高齢者の社会的孤立への対応が社会的課題となっている岩手県・青森県における、ICTを活用した見守りシステムの継続的で大規模な社会実験の進行にあわせて、そこから得られるデータをもとに高齢者見守りにおけるICT活用の効用を実証的に検証したことに意義がある。 社会実験は、平成20年度から岩手県社会福祉協議会及び青森県社会福祉協議会と連携し実施している「ICTを活用した見守りシステム」(家庭用の電話機を使用した高齢者の"おげんき"発信と、見守り者からの"みまもり発信"を融合したシステム)の、岩手県内15箇所・青森県内4箇所のフィールドにおける約200件の利用者データを活用して、個人属性等による評価の差異を分析した。また、このシステムは地域の互助機能の組織化が特徴であることから、見守り側の評価や地域性による運用の差異も分析した。さらに、青森県社協がこれまで運用してきた緊急通報システム(安心電話)利用者とその見守り者等を対象として、緊急通報システムと能動的な安否見守りシステムとの双方の差異についても調査と分析を行った。併せて、平成15年度から安否確認システムの実験を行ってきた岩手県川井村においては、平成21年3月にLモード電話機を活用した安否確認システムから岩手県社会福祉協議会の新たなICTを活用した見守りシステムに移行したが、この利用者を対象とした面接調査を行い,情報システムの差異が高齢者自身やサポートネットワークに与える影響も把握した。 また、横浜市栄区の公田団地で計画されている自動センサーによる見守りシステム等の他地域のICT活用の事例を把握し,情報システムによる高齢者見守りの効果についても比較した。
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