平成21年度はドイツ・フェミニズム論と「反」フェミニズムとの対比を「母性」言説から読み取る作業を行い、ドイツ女性史研究の特徴を明らかにした。これは大澤・永井のドイツ時代とその後に女性向けの啓蒙活動を行う時代思潮を描く下地。史資料収集は2年目は図書館相互利用を主に活用。が、永井の後半生執筆に必要な断種法論議の内実を見るための医学雑誌閲覧(館外不可の場合)に遅れが出ている。そこでI部自伝は手元の史資料で間に合う箇所は書き始めた。次年度は研究成果報告の執筆と同時並行で、医学関連雑誌の調査も補充として行う。 1.国内:花柳病男子結婚制限法の意図が永井との対比で鮮明にされた。平塚のフェミニズム論は「母性」言説ではなく、民法改正を意図する急進性があることが分かった。ここから日本・ドイツのフェミニズム論の「母性」言説を再考し、「いか程の優生思想の持ち主なのか」を検討→継続課題 2.国外:ドイツ語圏のフェミニズム論と結婚制限関連の文献は、ベルリンを拠点に収集。ベルリンはアクセスが容易で、かつ梱包コピーはTAの学生をフンボルト大学知人から紹介してもらえたので、調査はスムーズ。平成22年3月、スイス関連の図書もベルリンで集めた。
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