平成21年度は、イギリスにおいて現地の研究者から、I.イギリスにおけるチャイルドウェルビーイングをめぐる政策状況、および、II.チャイルドウェルビーイングをめぐる国際比較研究の状況についてヒアリング調査を行った。その結果、Iについては、(1) シュアスタートローカルプログラムは、当初の目的を達成できていないこと、(2) その理由としては、本来、低所得者向けのプログラムであったにもかかわらず、実施後は、主にミドルクラスの家庭が利用していること、(3) 多機関が連携して行ういわゆるJoint-upアプローチが実施されており、地域ごとに異なるアプローチが存在していること、(4) 2006年法によりすべての子どもにチャイルドケアが提供される法的根拠ができたが、ケアコストの2/3という高い費用負担(これはタックスクレジットにより相当の割合がカバーされる)と多元的な供給主体の存在による質の確保などに依然として問題を抱えていること、(5) イギリス政府は、今後のチャイルドケアポリシーの柱として「availahility」l「affordability」「qualitv」「suitability」の4つを設定していることが分かった。また、IIについては、(1) 環太平洋のチャイルドウェルビーイングの比較研究において、日本の子どもはマテリアルについては最も高いスコアが出ているにも関わらず、主観的なウェルビーイングでは最も低いスコアが出ており、各国の関心を集めていること、(2)上記の結果について、日本からの解釈・説明が求められていること、(3)主観的ウェルビーイングの尺度自体には問題があること(期待度と不幸せの度合いの関係や項目ごとの点数比(ウェイト)の置き方に問題があること)などが分かった。最終年度となる23年度は、これらめ結果を踏まえ、チャイルドウェルビーイングのインデックス作成のための提案をまとめる予定である。
|