今年度の課題は、実際に、子どものメディア機器と家族・友人関係との影響度を学校現場で実施調査することにあった。山口県内の小学3年生から6年生までの83名に、メディア機器の浸透度と、家族・友人との関わりの相関関係について調査を実施した。メディア機器の浸透度は、高学年になるにつれて高くなり・男子児童は、ゲーム機器に特化する傾向が見られ、女子児童は多様性に富む傾向が見られる。生活時間の不規則性は、特に顕著な傾向はないが、男児にはケーム機器に対する依存傾向が見られる。男児女児共に、高学年になるにつれて、家族との交流時間に減少傾向が見られ、友人とのとの関係には顕著な変化は見られない。しかし、友人との交流時間に顕著な減少が見られないとしても、共にゲームをすることで時間を費やし、情緒的な交流が十分に満たされているかどうかは判明しなかった。家族との交流については、学年により10%~30%程度、家族と一緒に食事をしていない移動の存在が確認されるが、メディア機器による影響のみからと特定することはできず、家族の共働きなどの影響があると考えられる。本調査においては、単親家族の児童、施設生活の児童を配慮した結果、「両親」、「父・母」などの言語の使用を避けたため、正確に、親と児童との交流関係を浮き彫りにすることができなかった。また、学校現場で、家族に対する調査に難色を示す傾向が見られ調査方法に改善しなければならない余地がある。今後の調査において考慮すべき課題であると考える。
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