研究課題/領域番号 |
20530526
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研究機関 | 高知女子大学 |
研究代表者 |
田中 きよむ 高知女子大学, 社会福祉学部, 教授 (00253328)
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研究分担者 |
玉里 恵美子 高知女子大学, 社会福祉学部, 准教授 (40268165)
霜田 博史 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 講師 (50437703)
水谷 利亮 高知短期大学, 社会科学科, 准教授 (00310897)
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キーワード | 限界集落 / 高齢者福祉 / 孤立 / 行政支援 / 地域社会支援 / 地域福祉 / 地域づくり / 持続可能性 |
研究概要 |
1.研究の成果の具体的内容 (1)本研究は、地方の限界集落において、介護・福祉ニーズだけでなく、孤立状況にある高齢者の生活ニーズ全般とそれに対する地域社会と行政の支援課題と対応モデルを構築するために、本年度は、高知県香美市内の集落を事例に、個別訪問調査により生活ニーズと支援課題を包括的に明らかにした。 (2)限界集落の高齢者の生活では、自家消費的農作業と年金により生計を立てつつも、(1)水管理や草刈りの負担、神祭や老人クラブ・敬老会の維持、通院等の移動、直接的な地域交流などに困難が生じており、(2)地域で暮らすうえで寂しさを感じることはなく暮らし続けたいと考えているが、介護が必要になった場合の不安があり、(3)今後10年以内には自分の住む集落が消滅することが危惧されている。 (3)地域で暮らし続けるうえで、(1)行政課題としては、災害対策、水や道路・川の管理、生活施設の整備、バスの維持・増便などの生活基盤整備がある。(2)地域福祉レベルの課題には、高齢住民だけによる活動が困難になり、社会福祉協議会や民生委員、保健師等が連携して支援しつつ、世代間協力や地域間協力をも視野に入れつつ、地域福祉活動の持続可能性を再検討することが求められる。(3)住民主体の地域再生の可能性を追求しつつ、合意形成に基づく内発的な集落の再編成も今後の課題である。 2.研究の成果の意義と重要性 本研究の成果は、都市部ではなく地方の限界集落における高齢者の孤立問題に注目して、福祉ニーズに収まりきらない生活課題を明らかにし、既存の社会福祉政策や地域福祉の取り組みを越えた行政・地域社会の支援機能の必要性を根拠づける重要性があり、社会福祉学における地域福祉研究において新たな視点を提供する意義がある。
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