障害者の支援評価システムをサービス支給決定プロセスを中心に諸外国との比較によって検討した。支給決定には、障害を誰が認定するか、支援サービスの必要性を誰が決定するか、という問題が中心になる。日本の障害者自立支援法では、個人の障害に焦点をあてた障害程度区分が障害者の社会参加のニーズに応えるものでないことが批判された。障害程度区分の際に用いられた個人の障害に対する客観的尺度に拘泥せずに、スウェーデン、英国あるいは西オーストラリア州の事例にみられるように、障害者を中心としたシステムでは、障害者の地域社会におけるニーズ、願望を聴き、それを地域社会の資源や人々につなげることが必要であり、そのためにはわが国では長期的視野に立って信頼されるソーシャルワーカー、コーディネーター等を育成することの重要性が論じられた。
|