平成21年度は本研究の2年目になるが、当初予定していた計画に従って研究活動を進めてきた。昨年度に収集・整理した資料を活用し論文執筆や学会報告などの研究活動を行った。学会報告については、社会政策学会の春季大会においては、「日中両国における高齢者福祉サービスに関する研究」の報告を行った。2009年11月30日に、中国天津市で開かれた「アジア共同体の可能性と問題」という国際シンポジウムにおいては、「高度経済成長期における日本の社会保障政策とその啓発」(使用言語:英語)の報告を行った。または、早稲田大学東アジア経済シンポジウムにおいては、「高度経済成長期における社会保障制度の拡充」(2009年11月14日)、早稲田大学現代政治経済研究所公開研究会においては、「日中両国における高齢者福祉政策の展開」(2009年12月11日)の報告も行った。完成した論文は次ページの研究成果に詳しく記載するが、「中国の公的医療保障制度の現状と課題」、「高度経済成長期における日本の社会保障政策とその啓発」など2本の論文を発表した。 昨年度の引き続きとして、現地調査とヒアリングも本年度の研究活動における重要な仕事の1つである。本年度においては、2009年8月、2010年3月、授業のない期間中に2回中国に行き、計5都市において現地調査とヒアリングを行なった。社会保障や社会福祉の専門家に対して、当該地域及び中国全体の社会保障および社会福祉制度の現状について聞き取り調査を行った。特に、社会保険(五つの保険と1つの徴収金)の徴収と給付の状況および中央財政と地方財政の役割について聞き取り調査を行った。また、高齢者施設において、中国の介護サービスの現場を視察し、アンケート調査を行った。さらに、図書館や図書城において、中国の社会保障および社会福祉に関連する文献資料を調べた。
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