平成22年度は本研究の最終年度であるが、当初予定していた計画に従って研究活動を進めてきた。1つの仕事としては、昨年度に収集・整理した資料を活用し論文執筆などの研究活動を行った。学術雑誌での発表ではないが、于洋、「社会保障制度と人的資源管理」(白木三秀・梅津隆編著『人的資源管理の基本』文真堂、pp.197-216、2010年6月)、楊立雄・于洋・金炳〓『中日韓最低生活保障制度研究』(中国社会保障出版社、近刊)、于洋、「中国における社会保障制度の変容と人的資源管理」(白木三秀編著『チェンジング・チャイナの人的資源管理』白桃書房、近刊)という3本の論文を完成した。学会活動については、社会政策学会の秋季大会と財政学会の秋季大会においては、討論者として、中国の社会保障財政や中国の社会福祉関係の発表にコメントをした。 もう1つの仕事としては、これまで予定通り実施できなかった現地調査を実行した。本年度においては、2010年8月、2011年3月、授業のない期間中に2回中国に行き、計5都市において現地調査とヒアリングを行なった。社会保障や社会福祉の専門家に対して、当該地域及び中国全体の社会保障および社会福祉制度の現状について聞き取り調査を行った。特に、医療供給主体である病院に対する調査によって、医療費急増の背景について、新たな理解を得られた。また、高齢者施設において、中国の介護サービスの現場を視察し、アンケート調査を行った。さらに、図書館や図書城において、中国の社会保障および社会福祉に関連する文献資料を調べた。
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