児童相談所における職員へのインタビュー調査を実施した。またアメリカのワシントン州・シアトルにおける当事者参画の実情を視察した。 子ども虐待の援助過程における当事者参画の日本型モデルの提示に向け、現実にどういった当事者参画実践が行われており、どういった点がファミリーグループ・カンファレンスと異なるかについて明らかにした。 相違点として我が国における参画実践は「親中心型家族参画実践」であり、諸外国(一部の欧米・オセアニア先進諸国)では「子ども中心型ファミリーグループ参画実践」であることがあげられる。またファミリーグループ・カンファレンスは「ファミリーグループ主導子ども中心型」アプローチといえるが、我が国では「専門職主導親中心型」アプローチであるといえる。 こうした背景には我が国と諸外国との制度的・理念的相違があげられる。諸外国では措置期間はパーマネンシー理念に基づき有期限化されており、親の支援サービスが措置機関と分離されている。したがって、措置機関は子どもの安全を死守することに徹することが可能である。一方、我が国では地域社会にそうした機関がほとんどなく、措置機関である児童相談所が親支援もしなければならないという現状がある。措置期間もある意味、無限化しており、子どものパーマネンシーに対する認識も低いといえる。こうしたことが本研究を通して明確となった。
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