児童養護施設に2004年度から配置されている家庭支援専門相談員が形成してきた専門性を明らかにするため、東京都内の児童養護施設に勤務する家庭支援専門相談員等の参加を得て2008年から2010年10月までに研究会を24回開催した。 児童養護施設に入所している子どもと親との再統合に向けて支援する過程を、入所から退所、アフターケアという時間の流れで捉えるだけでなく、インテークからアセスメント、ニーズの掘り起こし、支援計画の立案、地域体勢作り、地域ケアなどの要素で構成されるソーシャルワークの支援過程として体系化して、家庭支援専門相談員が家族を支援するソーシャルワーカーとしての専門性を形成していることを明らかにした。 面会や帰泊など日常的な対応は保育士や児童指導員などケア担当職員と家庭支援専門相談員が分担しているが、家庭支援専門相談員が計画立案や計画の進行管理に関わることにより、保育士や児童指導員が担う支援も、アセスメントに基づく目標達成のためのソーシャルワークの支援過程に位置付けられるようになっていきていることが判った。 全国の児童養護施設に調査紙を郵送し282人の家庭支援専門相談員から回答を得た。自立支援計画書の作成に家庭支援専門相談員が中心となって関わっている率が低いことや、計画的に支援している率が低く家族からの申し出に応じて支援をしている率が高いことなど、全国的にはソーシャルワーカーとして専門性が確立しているとは言えない状況が判った。
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