研究課題
1990年代以降の日本社会において、大量失業、労働者の非正規化、働く貧困層(ワーキングプア)などの社会問題が現われ、個人や家族の生活問題を引き起こし、既存の政策枠組みでは対応に限界があることが露わになっている。他方で、家族関係の崩壊、社会関係・人間関係からの排除などの問題群がある。アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存、児童虐待、ドメスティックバイオレンスは、その例といえる。現代の貧困・低所得問題は、複雑化・多様化しているため捉えにくくなっており、実証的アプローチが必要となっている。本研究の目的は、現象する問題群の中でも、現代日本における大都市の貧困・低所得層(とりわけ日雇労働者、野宿者、ネットカフェ生活者等、低所得リスクを抱え住居不安定化を被っている層)が抱える生活問題と社会的排除の状況および基本構造を実証的に明らかにし、社会福祉の課題を探ることである。本年度は本研究事業の中間年度である。前年度に続き研究目的に即して、貧困・低所得および社会的排除に関する国内、国外の先行研究、関連する研究の文献研究を行った。特に、なぜ日本では欧米に比べ、1980年代以降、貧困が再発見されることが少なかったのかという問題意識のもとに行った。その上で、第1に、過去に実施した法外援護給付利用者に関する調査結果の精査および再集計等による分析を引き続き行った。第2に、横浜市の担当職員、および寿町の住民にききとり調査を行うとともに、資料収集を行った。第3に、横浜の居住不安定層における戦前戦後の貧困対策の変遷について、まとめた。第4に、2010年度における調査準備を行った。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (4件)
(1)「保護の機関と費用、被保護者の権利義務、不服申し立てと行政訴訟」(2)「保護施設」(3)「ホームレス自立支援政策」(岩田正美・杉村宏編著『公的扶助論-低所得者に対する支援と生活保護制度-』所収)(ミネルヴァ書房)
ページ: (1)81-89(2)89-98(3)184-196
「ネットカフェ生活者の状況と福祉政策の課題-実態調査結果から-」(日本住宅会議編『格差社会の居住貧困~住宅白書2009-2010~』所収)(ドメス出版)
ページ: 60-65
(1)福祉政策(2)医療・介護政策(貧困研究会編『貧困研究』Vol.2所収)(明石書店)
ページ: 148-151
福祉政策(貧困研究会編『貧困研究』Vol.3所収)(明石書店)
ページ: 138-143