研究概要 |
1,ソーシャルワーカーの専門性に関する文献研究 昨年度に引続きソーシャルワーカー(SW)の専門性に関する文献及び先行研究のレビューを行った。22年度は特に病院という組織環境がSWに与える影響及びSW組織介入に焦点をあてた。 2.アンケート調査の二次分析、結果のまとめ 昨年度実施した精神科病院のSWを対象としたアンケート調査結果(n=655)の二次分析として項目間の関連性を分析した。その結果、以下の結果が得られた。 ・SWの評価は4点尺度((1)SWが行うべきでない,(2)SWが行わない方が良い,(3)SWが行っても良い,(4)SWが行うことに意味がある)で、38項目中34項目で「(3)SWが行っても良い」の回答割合が最も多く、「(4)SWが行うことに意味がある」は殆どの項目で低い割合であった。 ・経験年数の高いSWほど「業務範囲を限定すべきでない」と回答するものが有意に高かった。また経験年数の高いSWほど「ソーシャルワークか否か迷う仕事」に対する評価が肯定・否定のいずれかに分かれる傾向にあった。 3.インタビュー調査と修正版グラウンデッドセオリーアプローチ(M-GTA)による分析 これまでの予備調査結果より「経験年数の高いSWは、自らの業務範囲を限定しない一方で組織から要請される様々な業務に対して一定の評価基準を持ち、何らかの働きかけを経てソーシャルワークを展開しているのではないか」という問いを立て、そのプロセスを明らかにするために個別のインタビュー調査を実施し結果の分析中である。 調査協力者は精神科病院で10年以上の経験を有するSW(現時点で12名)であり、半構造化面接法によりデータの収集を行った。分析法はM-GTAを採用し、現在結果の分析段階で概念生成、カテゴリー生成を行っている。
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